『あさが来た』29話「あさとはつの再会。惣兵衛は白蛇ではなくて黒蛇に」

石炭での新しい商いを考え始めたあさ(波瑠)は、詳しい話が聞きたいと
新次郎(玉木宏)について三味線の師匠・美和(野々すみ花)の家をたずねる。
そこであさは、新次郎の着物の袖がだれかにつくろい直されていることに気づき。。。

『あさが来た』第5週29話「お姉ちゃんに笑顔を」あらすじ

新しい商いに石炭を掘ることを考えついたあさ(波瑠)は
主人・正吉(近藤正臣)と新次郎(玉木宏)に報告する。

石なんてどうするのかと言うふたりに
あさは寄合いで小耳にはさんだ
おか蒸気の話しをじめるのでした。

もうすぐ東京で走るという「陸蒸気(おかじょうき)」は
たくさんの人や荷物を運ぶ鉄でできた車で
人や馬を使って走るのではなく、
石炭を燃料に走るとあさは説明するが
正吉も新次郎もどういうことなのか
まったく理解ができない。

そう話しをしているあさも同様でした。

このころヨーロッパでは
当たり前となっていた鉄道でしたが
明治を迎えたばかりの日本では
鉄道なんてそんなもの
まだだれも想像すらできませんでした。

「なんで石なんかで走るんやろか?
びっくりぽんや」(あさ)

今日も新次郎はひとり
店を空け出かけていく姿を見送った
中番頭の亀助(三宅弘城)は、
新次郎は毎日外を出歩いてばかり
あさは商売のことばかりで
あの夫婦は本当に大丈夫なのかと
気を揉んでいた。

しかし今日はいつもと違いました。

あさが慌てて奥から出てくると
新次郎の行方を探しまわっている。

そんなあさに手代の弥七(竹下健人)が
新次郎ならつい今しがた
出ていったばかりだと伝えると
あさは大急ぎで新次郎のあとを
追いかけていくのでした。

あさは新次郎の知人・山屋与平(南条好輝)に会うため、
三味線の師匠の美和(野々すみ花)の家にやってきていました。

「いやいや、また珍しいところで
加野屋の若奥さんに捕まったもんや」(山屋)

そう笑う山屋与平はあさに
炭鉱の話しを聞きたいのか?と訊ねると

「へぇ。炭鉱に興味がございまして」(あさ)
「いや、何も興味あらへんのやけど」(新次郎)

ふたりが同時にまったく逆のことを言い出すので
あまりにも息があった様子に師匠の美和は

「まぁまぁ、仲がええやら悪いやら」(美和)

と笑われてしまい、
あまりいい気のしないあさです。

加野屋さんがやってみる気があるなら
筑前に話しを聞きに行った方がいいと山屋は言うと
そんな遠方にまで誰も行けないでしょうと呆れる新次郎。

しかし山屋は、
筑前の山にある炭鉱にはそれは良質な石炭が
たくさん採掘できるのだと商売の話しをしている横で
新次郎と美和の仲良さげに話しをしていることが
気になってしかたのないあさ。

するとあさは、ふと新次郎の着物を見て、
自分が縫った新次郎の袖がきれいに繕い直されていることに気づく。

そんなにいい話なら山屋さん自身が山を買えばいいのにと話す新次郎に
山屋は山を買うほどのお金は自分には工面できないと笑って首をふり、
それに炭鉱みたいに荒くれ者ばかりのところで、金銭のやりとりなんて
自分にはできないと笑うのでした。

その話しを聞いた新次郎も
自分のところも同じですよと笑ってあさに同意を求めるが、
消極的な新次郎の言葉にあさは納得できませんでした。

加野屋に帰ったあさは食事をする主人の正吉に
山屋から聞いた話しを聞かせると
正吉は今の加野屋には筑前に人を出す余裕はない
石炭の話は諦めようと言うと食事を終えて席を立ってしまう。

そら見たことかと新次郎が得たいが知れなさすぎると口を挟むと
あさは最初に石炭の話をしだしたのは新次郎なのにと苦言すると
言葉に詰まる新次郎はがあれはものの例え話だとごまかすと
こんな大変なご時勢にものの例えなんていってる場合ですかと
あさは食ってかかる。

あさが珍しくトゲのある言い方をするので驚く新次郎。
間に挟まれた榮三郎(吉田八起)は困り顔です。

いよいよあさは新次郎の着物について切り出します。

「そのお着物よぉきてはりますなぁ?」(あさ)
「あぁ、これか?これお気に入りやねん」(新次郎)

「知ってます。」そう答えたあさは、
その着物のほつれたところを自分が縫ったことを話すと
「あぁそうか、ありがとう」何気なくこたえる新次郎に対して
あさは怒涛の一言といい放つ。

「せやけど、その縫い目。
そのきれいな縫い目は
うちが縫うたものやおまへん
どこのおなごはんの手だす?」(あさ)

その言葉に慌てる新次郎はあることを思い出す。

「いや、それは。。。実は。。。」(新次郎)

慌てる新次郎の横で食事をしていた榮三郎は
食事をすませると新次郎を置いて
さっさと席をはずしていきます。

まごまごする新次郎にあさは
どうせ三味線の師匠の美和に
直してもらったのだろうと言うと
このところ毎日家のことも
自分(あさ)のことも放ったらかしてと
ここ数日の怒りをぶつけると
説明に困った新次郎はある妙案を考えつく。

「たしかにおなごはんに縫うてもらいました。」(新次郎)

そう白状した新次郎でしたが
この着物を縫った女性は
美和ではないとあさに告げる。

美和以外の女性と会っている
そう聞こえたあさは驚いてしまう。

「まぁ、そういうことだすな。」(新次郎)

そう微笑みながら話す新次郎に
あさはしかめっ面をするが
袖を縫った女性に会わせるといって
新次郎はあさを連れ出す。

あさと新次郎が向かった先は山里。

新次郎があの女性だと指差した先には
鍬くわを持ち畑を耕す百姓の若い女性。

あさが不思議そうに見ていると、
振り返ったその女性は
あさの姉・はつ(宮崎あおい)でした。

はつの姿を見たあさは
走り出し畑の中へ飛び込んでいく。

「あっ、わて居場所を教えたわけやあらへんのやで?
あさに「この袖縫うた女に会わせぇ」って怒られてしもて
ほんでしょうがあらへんよって連れて来ただけだすのや」(新次郎)

決して約束を破ったわけではないと
はつにあからさまな言い訳をする。

はつが無事なことに大喜びする
あさの姿を見ていた新次郎は

「ようよう疑いが晴れましたな。
ほなごゆっくり。」(新次郎)

そういってその場を離れていくのでした。

嬉しそうに話しかけるあさにはつは
「あかん」そう口にするとあさに対して
加野屋の若旦那さまとあろう人の着物が
あんな縫い目では駄目だとあさに
母のような小言を言うと

「ホンマやな、あかんなぁ」(あさ)

あさが真剣な顔で言うので
はつは思わず笑ってしまう。

そのあと、ふたりは近況を話合う。

加野屋もなんとか店は潰さずにすんでいるが借金だらけ
それなのに姑のよの(風吹ジュン)は買い物ばかりで
あさが店に出ているといい顔をしないと家の愚痴をこぼす。

するとはつは、姑が元気なことはいいことだと言い
はつの姑・菊(萬田久子)があれから置物のように
静かになってしまったと口にする。

あの菊が!?と驚くあさにはつは
今までいい顔をしていた人たちから
手のひらを返したように見下されるのだから
仕方がないかもしれないとあさに話す。

今は一家で近くの小さな百姓の家の
納屋で暮らさせてもらっていて
夫の惣兵衛(柄本佑)は
棒手降り(ぼてふり)して青物を売り歩き
はつは畑の手伝いや繕い物の仕事をして
生活していると近況を伝えると

これも新次郎がいろいろと世話を焼いてくれて
繕い物の仕事も新次郎が紹介してくれた。

あさに居場所を内緒にしていてほしいという
自分のわがままも聞いてくれて
本当にいい旦那さまだねとあさに笑って話す。

けれど実際に旦那さまになると
あれはあれで大変だと言うあさに
はつも惣兵衛のことを

「もう白蛇はんやあらへんで
すっかり日に焼けて黒蛇はんや」(はつ)

と、互いの旦那の話を笑って話していると。

ふたりが話す様子を遠目に見ていた新次郎のもとへ
野菜売りから帰ってきた惣兵衛がやってくる。

「何話してますのやろなぁ」(惣兵衛)

「さあな」(新次郎)

すると惣兵衛はかごからキュウリを取り出すと
ふたつに割って新次郎へ手渡すと
豪快にそれをかじるのでした。

貧乏は惨めだけど、
余計なことを考える暇もないくら忙しい
忙しいって案外いいものだとはつは口にすると
文を出すお金もない。

だからあさから両親に伝えて欲しい
「はつは元気や、いまでもお家を守ろうと気張ってる」と
その力強いはつの言葉にあさも安心するのでした。

「旦那さま。。。おおきに。」
手をつないで帰るあさと新次郎。

そしてそれから数日後、
正吉はあさを連れて寄合所を訪れていました。

五代才助・(ディーン・フジオカ)の
執務室へやってきたふたりは唐突に
「先日のカッパの話しだすのやけど」(正吉)
と、正吉が口にすると「カッパ?!」と驚く才助。

「びっくりなぁカッパ」(正吉)
「そうだす。五代さまの言っていた、
大阪を助けるびっくりぽんなカッパのことだす」(あさ)

身振り手振りで才助に必死に伝えようとするあさと正吉に
「びっくりぽん!????」(才助)
と、困惑する五代才助なのでした。

ふたりは一体なんのことを言っているのでしょうか?

『あさが来た』第5週29話「お姉ちゃんに笑顔を」解説

今回は「陸蒸気(おかじょうき)」「筑前(ちくぜん)石炭」「棒手降り(ぼてふり)
カッパ」について解説していきたいと思います。

陸蒸気(おかじょうき)」とは
明治時代に呼ばれた蒸気機関車の俗称で、
陸蒸気(おかじょうき)の語源は
福澤諭吉によって明治4年頃に造られた
造語であるといわれています。

明治5年5月に横浜、品川間の14.5マイルが完成し、
輸入機関車での仮営業が開始。

その後も開発はおこなわれ品川、新橋間鉄道敷設も完成。

その年の9月に鉄道開業式が行なわれ、
陸蒸気(おかじょうき)という名称は、
明治15年頃まで使われました。

明治17年6月には上野、前橋間鉄道開通、
同月25日の開通式の頃には一般的に
汽車(きしゃ)と呼ばれるようになります。

筑前(ちくぜん)石炭」とは
筑前(ちくぜん)は現在の福岡県北西部あたりのことをさします。

徳川幕府から明治政府にうつると、産業革命期に入り、
1872年(明治5年)に鉱山開放令が公布。

明治政府や民間人による炭鉱開発が急速に進められました。

1901年に八幡製鐵所(現・新日本製鐵八幡製鐵所)が
操業をはじめ、さらに需要が増加し、生産量が増大。

その同時期から財閥が炭鉱開発に参入するようになります。

棒手降り(ぼてふり)」とは
振売り(ふりうり)とも呼ばれ、日本では盛んに行われていた
商品販売の手法のひとつです。

ざる、木桶、木箱、カゴなどを前後に取り付けた
天秤棒(てんびんぼう)を担いでかごをふりながら
野菜などを売り歩く様子からこう呼ばれていました。

カッパ」とは
日本の妖怪・伝説上の動物、または未確認動物のことですが、
おそらく今回はこの「カッパ」ではなく「カンパニー」のことが
言いたかったのでしょうね(笑)

【五代才助と大阪の関わり】→コチラ 第4話 「小さな許婚(いいなずけ)」解説へ

『あさが来た』第5週29話「お姉ちゃんに笑顔を」感想

今回は、ワイルド惣兵衛さんに大変身!?な 回でしたね。

加野屋夫婦の痴話ケンカからの
あさとはつの再会!!!
一時はどうごまかすのかとハラハラしましたが(笑)

新次郎さんやりますねぇ~

そして、見る見る間に白蛇・惣兵衛さんが
キュウリにかじりつくほどまでに
ワイルドに変貌していることに
みなさんが驚いたことでしょう!!

この両夫婦、
お互いに相談や話ができるようになって
本当にステキな関係になってきましたね。

今日の名言は
新次郎さんの 「たしかにおなごはんに縫うてもらいました。」 です。
この機転がすごいなと関心してしまいました!

あさと正吉さんの「カッパ」は
はたして五代才助に通じるのでしょうか?
次回、『あさが来た』第30話「お姉ちゃんに笑顔を」お楽しみに!!!

『あさが来た』もくじ あらすじと解説・感想

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