『まれ』108話「圭太の決別、父・博之の最後まで貫く父親としての決意」

博之(板尾創路)が塗師屋を継ぐと宣言した本当の理由を知った希(土屋太鳳)は、
博之への反発心が強烈な後押しとなっている圭太(山崎賢人)に真相を伝えるべきか
思い悩むが、一方の圭太は、自分で描いた「陶胎漆器」のデザインを見てもらおうと、
蒔絵師の葛西もとに押しかけ続け、ついに圭太の熱意に根負けした漆器組合たちは
一致団結し、陶胎漆器のデザインを考案するのだった…。

『まれ』第18週 108話「親心ロールケーキ」あらすじ

希は藍子に、博之が自分が悪者になり、圭太を盛り立て
市長にも協力してもらって、市役所を辞めるふりまでしていると
博之の行動の真意を話す。

そんな博之の行動に藍子は、博之さん男前やねえと感服するが、
希はもっと素直に応援してほしいと苦悩を漏らす。

自信をなくしていた落ち込んでいた圭太
怒りを原動力にやる気で燃えている姿を見ている希は
このことを圭太に言うべきかどうか悩むのでした。

漆器組合の会合では
圭太が、自分の描いた新しいデザインを見てほしいと
葛西に頼み込むが、まったく聞き入れてもらえず
それどころか、博之に反対され、意地になっているだけだろう
言われてしまう。

輪島塗のためだけなら、「陶胎漆器」でなくても
他に道があると葛西が言うと、
圭太は、「陶胎漆器」は弥太郎の悲願だった、
成功させないまま、引退させるわけにいかない
まっすぐな眼差しで葛西に訴える。

自分がこの間ここでいろいろ話したことは、
全部、弥太郎に教わったことだ
それなのに、自分が不甲斐ないばかり
弥太郎が人生かけて守ってきた輪島塗を
無かったことにしてしまう。

このまま引退させてしまったら、
自分は一生、自分のことを許せない
だから、力を貸してください
陶胎漆器」を作らせてください
お願いします!と言って
床に手をつき頭をさげて頼む圭太

圭太の弥太郎への想いに胸を打たれた葛西
ため息をつくと、カバンを机の上へ投げ出すと
憮然とした表情で椅子に座り、見せてみろ!と、
圭太にデザインを見せるように言う。

圭太が喜び急いで描いたデザインを見せると
葛西はなんじゃこれ?と言って呆れてしまう。

どれどれと、覗き込んだ塗師屋たちは、
圭太の描いたデザイン案を見ると
幼稚園の子供が描いたような図案
これはひどいなと、漆器組合会長・遠藤(渡辺哲)笑う。

うなだれる葛西は、
よくもこんなものを見てくれ見てくれと
しつこく持って回れたな、蒔絵をなめてるのか!?
少し怒ったような口調で言うと、
圭太は、自分なりに精いっぱい頑張ったと
真剣な顔でたじろぐ。

すると、あまりの圭太の絵心のなさに呆れかえった葛西は、
デザインの納期はいつだと圭太へ聞く。

圭太がそんな葛西の言葉に驚いていると
お前のためじゃない
弥太郎への引退のはなむけだと素っ気なく言うと、
仕方ないなと微笑ましく笑う遠藤たち
ありがとうございます!と頭をさげる圭太だった。

ようやく圭太のを受け入れた塗師屋たち
紺谷家に集まり「陶胎漆器」の制作について
アイデアを持ち合い議論を重ねていた。

その光景に感動する希に
圭太の思い通じたと喜ぶ藍子と直美、
輪島中の職人を味方につけたと笑う弥太郎、
そして、勝手なことをと言いながらどこか嬉しそうな博之

台所で職人たちの食事を用意する希に藍子は、
やはり本当の事圭太に話た方が良いんじゃないかと言い
直美が、圭太と博之のことで本当に肩を落としていたと希に話すが、、
せっかくここまで悪者を通してきたのに、今ここでバラしてしまったら、
博之の親心が台無しになってしまうと気にかける希。

そしていよいよ、「陶胎漆器」のサンプルが出来上がり
それをアンドレ(アルノ・レ)に見せている圭太の後ろでは、
漆器組合の仲間たちがその様子を見守る。

まじまじとサンプルを見つめるアンドレに圭太は、
内側にはプラチナの蒔絵を施してあり、
長く使える輪島塗の丈夫さと、
飲み物を美味しそうに魅せる磁器
両方の良さを引き立てるデザインにしたと説明すると
そのことを渡辺はアンドレへと訳す

どうですか?と感想を求める圭太に
アンドレはしばらくの間黙って圭太を見つめていたが、
ふっと笑顔をみせると、満足そうにうなずくのでした。

陶胎漆器」の契約成立に、乾杯!
漆器組合会長・遠藤が、音頭をとると、
「陶胎漆器の契約成立祝賀会」が開かれた。

圭太が協力してくれた職人たちに挨拶にまわる姿を
そっと見つめる博之。

圭太は漆器組合会長・遠藤に礼を言うと、
遠藤は、弥太郎の執念を実らせたなと圭太をねぎらう
はいっと嬉しそうに返事をする圭太。

すると博之が、
何を自分の手柄のように、喜んでいるのかと言いだすと、
お前のためにみんなは、他の仕事を止めて、
迷惑をかけていたのがわからないのかと圭太を諌める。

そんな博之に遠藤は、こうしてみんなも喜んでいることだからと
博之をなだめようとするが、博之は自分がこなせない仕事
これからもみんなに泣きついて助けてもらうつもりか?
そんなことでよく偉そうに、五代目継ぐなどと言えたものだと
わざと冷たく言う博之。

そこへ、憤慨した葛西が入ってくると

博之に、塗師屋を継ぐのは、
市長になるためだというのはは本当か!?と詰め寄る。

その言葉に祝いの場は騒然とする。

そんなことがあるはずがないだろうと場を収めようとする遠藤だったが、

博之は真実だと言って立ち上がると、葛西は博之に掴みかかり、
輪島塗を市長選に利用するつもりか!?と怒りあらわにする。

博之は何が悪いのかと開き直り、塗師屋出身の市長なら、
塗師屋としても損はしないだろうと言うと、
葛西はふざけるなと、博之を殴りつけ、
俺たち職人は、損得では動かない
計算もできない漆バカばかりが集まって、
輪島塗は出来ている。

一緒に気持ちを動かして、
涙流してくれる塗師屋とでなければ、
とってもじゃないがやっていけないと言うと
そうだそうだと他の職人たちもが口をそろえ、
葛西は、博之に塗師屋を継ぐ資格はないと
博之へ言い放つ。

その光景に堪りかねた藍子が本当のことを言おうとするが、
そんな藍子を希が制止しする。

葛西に殴られた博之は
馬鹿らしいと言って立ち上がると、
気持ちやら涙やら、
そんなもので輪島塗が守られるなら、
やってみればいい!と声を張り上げると、
職人連中の後ろから圭太が
博之に言われなくてもやってやるから見てろ!と言い
輪島塗は、漆は、絶対に自分が守る!と啖呵を切る。

すると博之は圭太を見据えると小さくうなずき、
その言葉を忘れるなと言って、
博之は弥太郎の前へと歩み寄ると一礼し
弥太郎は博之の顔を見ると一瞬優しく微笑み
黙ってうなずくと、去っていく博之を見送る。

希は博之の後を追いかけ、
お義父さん!と呼び止めると
立ち止った博之に、希は、
ありがとうございました!と頭をさげる。

そして、圭太には言わないと口にすると
ずっと言うか言わまいか迷っていたが、
圭太が尊敬する父親は、きっと、
悪者のまま去って行く、
格好良い父親だろうからと言うと、
それでもいつか、博之の愛情を、
圭太に直接伝えてあげてほしい
博之に伝える。

その希の言葉に博之は、
すっかり塗師屋の女将だなと言って、
人のこと心配している場合か?
これでますます、パティシエには戻れないぞと
希に忠告すると、
希は穏やかな表情で
ゆっくり考えますと言うと
博之は何も言わず、うなずいて去って行く。

博之の後姿に希はありがとうございました!と
深々と頭を下げる。

そんな様子を、柱の陰から見ていた直美。

台所で宴の片づけをしている希に、
漆器は洗ったらすぐに水分を拭かないと!
直美が駆け寄ってくる。

慌てた希が、すみませんと謝ると
希にはがっかりしたという直美。

自分の旦那と義理の父親の仲ひとつ
うまいこととりもてないなんてと愚痴をこぼすと、
希は申し訳なさそうに、すみませんと言葉にするが、
それでもまあ、なかなか根性すわっているわねと、
素っ気無さを装った直美は言うと、直美は希に向き直り、
本気で希を、完璧な塗師屋の女将に仕込むと意気込む。

そんな直美に、希は自分はいつかパティシエに戻ると言い慌てるが
そんな希をよそに直美は、さっさと片付けを済ませるようにと希に言うと
嬉しそうに微笑むのだった。

希がパティシエに戻れるのはいつの日か
それまで塗師屋の女将・希をお楽しみくださいませ。

『まれ』第18週 108話「親心ロールケーキ」解説

今回は 「金属粉を使った蒔絵」 について解説していきたいと思います。

劇中に「プラチナの蒔絵」というものが出てきましたが、
プラチナ」金属で「蒔絵」とはどういうことなのでしょうか?

金属粉を用いた蒔絵のことを金蒔(かなまきえ)と言います。

金蒔絵はまず、塗物の表面に漆で文様を描き
漆が乾かないうちに金粉を蒔き沈め乾燥させます。

更に漆で塗り固め粉をしっかりと固定してから、
表面を木炭・サンドペーパー等で研ぎ出し
乾燥した漆と共に粉を半分近く削ることによって
金属面が浮き出てくるのです。

使用する金粉の粒の大きさによって、仕上がりが異なり
粗いもの程仕上りは金属的な光沢
細かい程に鈍い光沢となり、
同じ金属でもさまざまな発色が変化します。

蒔絵師はこの仕上りの違いを把握し、
必要とされる図柄のどこにどんな粉を使用するかを
決定していきます。

【代表的な五種類の金粉の形状】
丸粉(まるふん)
金などの地金をヤスリでおろして鑢粉(やすりふん)を作り、
これを摩擦して更に細かくしながら丸みをつけたものを丸粉と言い
この丸粉を用いた蒔絵を本蒔絵と言います。

平目粉(ひらめふん)
丸粉を潰して小判型にしたものです。
平目粉を蒔かずに一粒づつ置いていく置平目(おきひらめ)という技法もあります

梨地粉(なしじふん)
基本的には平目粉をさらに薄く延ばしたものとも言えますが、
平目粉との違いは周囲がギザギザになっていて、平目粉ほど艶がなく
梨地粉は、漆を塗った上に梨地粉を蒔き、
粉を研ぎ出さずに漆を透かして見せたものを梨地といいます。

平粉(ひらふん)
鑢粉(やすりふん)を小麦粉くらいまで砕いて微細にしたもので、
平蒔絵ひらまきえに用い、蒔いた表面を磨くだけで研ぎ出はしません。

消粉(けしふん)
金箔を細かく砕いたものです。
蒔絵以外にも、沈金細工や絵画・陶磁器の絵の具としても使われ、
蒔絵では消粉を綿に含ませ、描いた漆の上に撫で付けて用いるので、
割合手間が掛からず、少量でも広い面積に延びるので、
主に安価な漆器の加飾に利用される事が多く見られます。

これらの粉は金だけではなく、銀・プラチナ等、金属の種類別に
さまざまな形状を持ったものがあり、たとえば同じ金粉でも
混ぜ合わせることで幅広い色のバリエーションを作り出せます。

この技法を使って、漆だけでは出せない白さ」を「プラチナ」の金粉を使って
表現していたのですね。

『まれ』第18週 108話「親心ロールケーキ」感想

今回は、どこまでも不器用な父親 な 回でしたね。
なんだかとっても切ないエピソードだった第18週でしたね。

てっきり最後には和解できると思っていたのですが、
この親子の和解は先延ばしになってしまいました。

最後の最後まで悪役と突き通した博之さん
すごくかっこよかったですが
もっと最善の方法はなかったのでしょうか?

博之さんのことを一番理解しているのが
弥太郎さんでした。

子の将来を想う強い気持ちと
不器用なまでな深い愛情表現
やはり親子ですね。

そっくりに感じました。

今日の名言は
葛西さんの 俺たち職人は、損得では動かない です
職人魂を感じる一言ですね。

希を完璧な塗師屋の女将に仕込むと意気込む直美
いよいよ塗師屋の女将としての希の本格修行が始まります。
この先一体どうなっていくのか!?

次回、第109話  新 「潮時じゃがいもガレット」 お楽しみに!!!

『まれ』 【もくじ あらすじと解説・感想 一覧】

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