『あさが来た』32話「ふたりの娘の生活を案ずる父・忠興。あさの商いを認める。」

突然訪ねて来た父・忠興(升毅)にあさ(波瑠)は加野屋の新しい商いとして
炭坑経営を考えていることを相談するが大目玉をくらってしまう。その後、
あさは父・忠興と共に姉・はつ(宮崎あおい)のもとを訪れる。
一方の新次郎(玉木宏)は夜遊びにふけってしまい美和(野々すみ花)の家で
ふたきりになり。。。

『あさが来た』第6週32話「妻の決心、夫の決意」あらすじ

突然加野屋を訪ねて来たあさ(波瑠)の父・忠興(升毅)は
また余計な口出しをして加野屋を困らせているのでないかと
あさに小言をはじめる。

あさの父・忠興は、新政府に尽くした功績をかわれ
今や日本経済の中心を担う実業家をなっていました。

あさの父がやってきたとのことで、
加野屋の主人・正吉(近藤正臣)と
女将・よの(風吹ジュン)も
忠興へあいさつへやってくる。

忠興はまもなく今井の拠点を東京へ移すので
なかなか顔を見せることが難しくなる前に
あいさつにやってきたのでした。

久しぶりに顔を見る娘に忠興が近況を聞くと
あさは新しい商いに炭鉱経営を考えていること
自身が九州へ出向こうとしていることを話すと
石炭の商いについて忠興に相談する。

「なあ、あさ
お前が九州へ行ってしもうたら
誰が新次郎さん(玉木宏)のお世話をするんや?」(忠興)

忠興の言葉でやっとその事に気づいたあさは気まずそうにしていると、

「旦那さんのお世話もせんと
余計なことばっかり考えて。。。
相変わらずの このアホ娘が!!」(忠興)

と、忠興の最大級のカミナリが落ちると
飛び上がって逃げ出してしまうあさ。

そんなあさを忠興は「おいど(お尻)を出せ!」と
子どもの頃のように追いかけまわすのでした。

その様子を呆然と見つめていた新次郎の前で
加野屋に忠興の怒号とお尻を叩く音と、
そしてあさの反省の声がこだまします。

「痛い!
そない叩いたら痛いがな。」(新次郎)

わが身を叩かれているかのように
悲壮な表情を浮かべる新次郎です。

忠興にこっぴどく怒られたあさは
懐かしい光景だったと笑ううめ(友近)に
痛むお尻をさすってもっていた。

もう大人なのにあんなに叩かなくてもと
子ども扱いをする忠興にふてくされていると、
そこへ新次郎が心配してやって来る。

「あさちゃん
おいど(お尻)はご無事だすか?」(新次郎)

新次郎に人生に二度目のお尻の心配をされて
恥ずかしくなったあさは黙ってその場から逃げ出してしまう。

そのかわいらしいあさの様子を
微笑ましく見送る新次郎とうめなのでした。

そのころ忠興は正吉と縁側でお茶をしていた。

「あんな娘でほんまに申し訳ございません。」(忠興)

恥ずかしそうに話す忠興に正吉は、
「なんのなんの」と笑って否定すると、
自分としてはあさが加野屋へ嫁に来てくれたことは
本当に良かったと思っていると忠興に話す。

まさかと驚く忠興に正吉は、

「いやいや、今井さんとよう似て
えらい度胸と商才のあるお嬢さんだっせ」(正吉)

正吉の言葉に「ほぉ」と目を丸くする忠興。

今の時代の流れの中では両替商という商売自体が
もう成り行かないようになってきている。

その中でこの加野屋を変えようと奮起してくれているのが
あさなのだと正吉は嬉しそうに話す。

自分ももう少し若ければ柔軟に対応できたかもしれないが
年のせいか頭が固くなってしまってよい考えが浮かんでこない。

そして、跡継ぎの榮三郎(吉田八起)もまだ幼く
後見人の新次郎にしてもしっかりしているとは
なんともお世辞にも言えない状況でと笑う正吉。

しかし正吉は、
そんな新次郎でさえも最近はあさのおかげで
少しずつ変わってきているような気がする。

あのあさの、どんなことがあっても
「びっくりぽんや」と言って受け止めてしまう
あさの独特な「柔らかい力」こそが
今のこの加野屋には絶対欠かせないもので
あさに救われているのだと忠興に話すのでした。

「皆が加野屋はんのように
思ってくれてるわけではございません」(忠興)

と、涙ながらに忠興はそういうと

「ええ所に嫁がせて頂きました」(忠興)

「こちらこそ、
ええお嬢さんを頂いて おおきに!」(正吉)

深々と頭をさげるあう忠興と正吉でした。

一方、畑仕事に精を出すはつ(宮崎あおい)たち、
義父・栄達(辰巳琢郎)はあまり無理をしないように
とはつを気遣う。

そんな栄達の優しさに、はつは何気なく
あしでまといになって申し訳ないと口にする。

その言葉に栄達はおかしそうに笑いながら、
はつの存在はこれからの望みなのだと話すと
はつのおかげで今の生活にも張りができた。

「どないな時であれ、
そのお腹の子は大事な山王寺屋の跡取り。
私がちゃんと育てますよってな。」(栄達)

そんな栄達の言葉に心強さをもらったはつは
「おおきに、お父さま」と栄達にいうと
栄達はこ恥ずかしそうに笑って。

「これからは「お父ちゃん」でええわ」というと
お付きのふゆ(清原果耶)にも同じように呼ぶように呼び掛け
これからは家族の柱として父となることを決めるのでした。

「おおきに、お父ちゃん!」(はつ)

嬉しそうにそう栄達に微笑みかけるはつ。

その家族の姿を少し離れた土手からあさとうめ
そして、父・忠興の3人が見つめている。

「おはつさま、生き生きしとられますなぁ」(うめ)

無言でたたずむ忠興にあさは
本当にはつには会っていかないのか?と訊ねるが
忠興は「あぁ」と少し目を赤らめそう答える。

農作業をしていた栄達は、
土手にたたずむ3人に気づくと立ち上がる。

そんな栄達に気づいた忠興が黙って頭をさげると、
栄達も何も言わずに忠興に礼を返すのでした。

帰り道、あさは父・忠興に
山王寺屋の姑・菊に言われたことを話す。

お家が潰れたのが自分ではなく姉のはつで良かったと
内心思ってるだろうと菊に意地悪を言われたあさだったが
けれども、人にとってなにが幸せなのかなんてわからない。

まっとうなことを口にするあさに
そんな大人びたことを言うようになってと
まだ子ども扱いする父・忠興に

「これでも、もうちょっとは大人だす。」(あさ)

と、すねるあさにうめは思わす笑いが込み上げてくる。

「炭鉱は日本の国力を増す意義のある事業や。
京都でも鉄道会社設立の動きがある。
これからの石炭産業の発展は間違いないだろう。」(忠興)

しかし、そうは言っても難しいことの山積みで
炭鉱には手に負えない荒くれものが多いと聞く
よほどしっかりとした「男」が上に立たないことには
どうにもできないだろうと炭鉱経営の難しさを忠興は話す。

そんな忠興の話しを聞いても諦めないあさに忠興は
だれが考えても女性には無理な仕事だと思うだろう。

一度立ち止まって本当に自分にできそうかどうか
よく考えてみるようにとあさに助言すると

「。。。それでも できる思うんやったら
助けはせんが 勝手に頑張れ。」(忠興)

忠興の思いもよらない言葉に驚くあさ。

「お前にとって お家を守るいうんは
そういうことなんやろ?」(忠興)

そういうと忠興はあさに振り返ることなく歩いていく。

父・忠興の言葉はあさにとって
何よりの応援の言葉となりました。

そのころ東京では。。。

「大阪にある面白かもんちゅうのは
おなごじゃっとがな?
(女性のことではないのか?)」(大久保)

そう話しかけられた五代才助はフフっと笑うと
「さようでごわす!」とそう言えば格好はつくが
じつはそれだけではないと才助は
親友・大久保利通(柏原 収史)へ話す。

「官と民、立場は変わっても
おいは おはんがすることを
(俺はお前がすることを)
ずぅ~っと見つづけちょっで。
(ずっと見ているからな。)」(大久保)

1870年(明治3年)

そして、年も明けて両替屋が時代に取り残される商いとなるなか
今日もあさはお家のために炭鉱へ行くことを考えていました。

「はぁ。。。
なんと言うても先立つものはお金やなぁ」(あさ)

お金お金お金とお金の心配ばかりするあさの様子を
柱越しに覗いていた姑・よのはあさの色気のなさに
ため息をついていた。

そして、あさはついに婚礼道具の目録まで引っ張りだし
箪笥(たんす)が21さお、長持ちが7つに、唐びつ(からびつ)、
厨子棚(ずしたな)、琴、貝桶、衣桁、葛巻

「みんな売ったらなんぼになるやろか?」(あさ)

突然のことに驚くうめにあさは、
婚礼道具を売ったお金と持参金を
いつか炭鉱を買うことになったときのために
準備しておくのだとうめに説明する。

しかしうめは、これらの道具は今井の両親が
長い年月をかけて支度してくれた大切なもの
普通の家に生まれた娘なら一生に一度
買ってもらえるかどうかというほどの
大変な品物なのにとあさを叱る。

するとあさは、婚礼道具の琴に手を合わせると
「お父はん、お母はん。。。堪忍!」というと
そろばんをはじきだす。

「聞いてましたんか?」(うめ)

不機嫌そうにあさの後ろにすわるうめです。

そんなあさの姿を見ていた新次郎は
今日も三味線の師匠・美和(野々すみ花)の所で
いつものように三味線遊び興じていたが
ふと、あさのことを思いだし考えにふけっていた。

するとそこへ美和がやってきて新次郎の横へすわると

「今日はもう二人きりだす。」(美和)

もう、仲間たちも家路につき
家には新次郎と美和のふたりきりになっていた。

美和は夜風に冷えた新次郎の手をとると
ふたりは無言で見つめあうのでした。

『あさが来た』第6週32話「妻の決心、夫の決意」解説

今回は「婚礼・嫁入り道具(たんす・ながもち・)」「京都鉄道会社
大久保利通」について解説していきたいと思います。

婚礼・嫁入り道具(たんす・ながもち・)」とは
箪笥(たんす)が21さおとは、タンスは昔棒をとおして担いで運んだことから
タンスを数えるときには「棹(さお)」を使うようになっています。

 

長持ちとは、
長さ約174センチメートル、幅と高さは約75センチメートルのカギがかけることのできる
蓋のある箱状の衣類を収納するケースです。

タンスや長持ちはお雛様の飾りとしても見かけるので身近ですね。

 

唐櫃(からびつ)とは、
これも衣類や書物などを収納するケースで
長持ちに4~6本の足のついたものになります。

 

厨子棚(ずしたな)とは、
日本古来の棚に中国の厨子(戸棚)が融合した飾り棚のことで、
江戸時代には大名家の嫁入り道具にもなった高級家具です。

三段式になっている置き棚が一般的です。

 

貝桶(かいおけ)とは、
貝合わせの貝殻を入れる蓋つきの桶のことで
地貝用と出し貝用の2つで1組とされています。

《貝合わせとは》
平安時代から伝わるハマグリの殻を用いた遊びで、
貝殻の内側に源氏物語などの絵柄を描き
神経衰弱のように絵柄をあわせて遊ぶ遊びです。

 

衣桁(いこう)とは、
着物をかけるついたてのようなものです。
着物売り場や展示場なので、着物を大きく広げて
飾ってあるものがありますよね?

まさしくあらのことです。

 

葛巻(くずまき)とは、
こちらは当方で調べたものの該当するものがみつかりませんでした。

おそらく、嫁入り用の書道道具もしくはお茶立て用の南部鉄器の茶瓶
なのではないかと思われます。

 

京都鉄道会社」とは
明治2(1869)年岩倉具視、大隈重信、伊藤博文らが
鉄道建設を決定し、東京〜京都を中山道で結び、
東京〜横浜と琵琶湖〜敦賀港を支線とする計画を立てました。

明治5(1872)年、日本初の鉄道が新橋~横浜間に開通。
同時に工事が進められていた京阪神地区も順調に建設が進み、
明治7年(1874)には大阪駅 – 神戸駅間が開通。

明治9年(1876年)には京都駅(大宮通仮停車場)~大阪駅間が開通し
京阪神が鉄道で結ばれるようになします。

そして、明治10(1877)年には京都・大阪間の鉄道が完全に開通。

京都鉄道(きょうとてつどう)という名前登場したのは、
明治26年(1893年)に設立された民営鉄道です。
現在の山陰本線のうち、嵯峨野線の区間の路線を建設・運営しました。

 

大久保利通」とは
1830年、薩摩国鹿児島城下の薩摩藩士・大久保利世の長男として生まれ。
幼い頃から西郷隆盛、海江田信義らと共に学問を学びました。
16歳のときに藩の記録所書約助として出仕し、
20歳のころにはお由羅騒動と呼ばれるお家騒動で免職・謹慎処分を受けます。
藩主が島津斉彬へ代り、利通は復職を許され、藩内組織の領袖として活躍します。
31歳になるころには御小納戸役に抜擢され、家も一台新番と格上げになりました。
35歳のとき大久保利通と改名します。

 

その後、京都の政局に関わるようになり、公家の岩倉具視らと画策し
公武合体政策、一橋慶喜の将軍後見職、松平慶永の政事総裁職就任など進め
幕末政治の中枢として西郷隆盛とともに活躍。

徳川慶喜の大政奉還を以降は、明治維新の「維新の三傑」として、
西郷隆盛、木戸孝允と並んでと称される。維新の十傑の1人です。

明治維新後は、内務省の設立や学制や地租改正などを行い
西洋諸国に対抗して産業、資本主義育成により国家の近代化を推進。

現在に至る日本の官僚機構の基礎は、
内務省を設立した大久保利通によって築かれたと言われています。。

【五代才助と大阪の関わり】→コチラ 第4話 「小さな許婚(いいなずけ)」解説へ
【明治鉄道と石炭事業について】→コチラ 第29話 「お姉ちゃんに笑顔を」解説へ
【あさと新次郎のおいど(お尻)エピソード】→コチラ 第1話 「小さな許婚(いいなずけ)」へ

『あさが来た』第6週32話「妻の決心、夫の決意」感想

今回は、一番賛同してほしかった父からのエールな 回でしたね。

今回は父・忠興さんの親心が凄く合われた回になりましたね。

許婚を取り替えたことで大きく変わった娘たちの生き様。

そこに山王寺屋・栄達さんも父・忠興さんも
はつに対しての思いは格別なものがあるでしょうね。

お互いにとてもつらそうでしたね。

あさもそのことをしっているだけに
はつへの思いもずいぶんなものだと思います。

今回、母・梨江さんが同行していなかったのは
今のはつの状況を見てしまったら
居てもたってもいられなくなり
連れ帰ってしまいそうだったのではないでしょうか?

貧しいながらもはつが幸せになってくれることを
願うばかりですね。

今日の名言は
父・忠興さんの
。。。それでも できる思うんやったら
助けはせんが 勝手に頑張れ。

お前にとって お家を守るいうんは
そういうことなんやろ?」です。

ようやく父・忠興さんも加野屋・正吉さんの言葉で
あさの商才を応援できるようになった安心からでた一言でした。

美和の家でふたりきりになってしまった新次郎
手を取り合い見つめるふたりは一体どうなるのか!?

次回、『あさが来た』第33話「妻の決心、夫の決意」お楽しみに!!!

『あさが来た』もくじ あらすじと解説・感想

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